日本−中国 トキ保護に国境なし 中国・陝西省の協会から活動冊子 転送

羽咋市上中山町、NPO法人日本中国朱鷺(とき)保護協会の村本義雄名誉会長(87)方に、中国・陝西省野生動物保護協会から春節を祝うメールとともに日本と中国が陝西省で協力して進めているトキの保護活動を記した冊子が届いた。沖縄県尖閣諸島の領有をめぐり、悪化が懸念される日中関係に村本さんは「トキがきっと解決してくれる」と、民間交流の大切さを訴えている。(島崎勝弘)
羽咋 村本さん、民間交流強化訴え
 村本さんに届いたのは、国際協力機構(JICA)が二〇一〇年から陝西省で始めた人とトキが共生できる地域環境づくりプロジェクトの様子を伝えるために定期的に刊行しているカラー冊子「ひともトキも」の六号と七号の日本語版と中国語版合わせて百冊。
 村本さんによると、中国では一九八一(昭和五十六)年に陝西省で見つかった野生のトキを保護し、増やす活動が続いており、JICAのプロジェクトでは日本人と中国人が協力して農薬や化学肥料を減らしながら、住民生活の向上を図る農業のモデル事業を推進したり、子どもたちへトキのグッズを配ったりして保護への協力を訴えている。
 村本さんが陝西省を訪れ、中国の野生のトキを視察してことしで二十年。その後、野生のトキが絶滅した日本に中国からトキが贈られ、現在は自然放鳥も行われている。二〇一一年にはその自然放鳥されたトキ一羽がかつて生息していた能登にも舞い降りた。
 村本さんは「地球上のトキを守るという観点でも、日本と中国は協力していかなければならない。トキが結んでくれた縁を大切にしなければ」と話している。