傾いた玄奘法師ゆかりの塔、一千年かけて復元へ…西安・大雁塔 転送

中国新聞社電によると、陜西省測絵局(測量局)は7日、同省西安市慈恩寺境内にある大雁塔(写真)の傾きが戻りつつあることを明らかにした。地下水位の改善策が奏功したとみられる。ただし、元通りになるまでには、今後約1000年が必要という。
  慈恩寺大慈恩寺)は西安市南郊外にある名刹。建立は648年で、日本の大化の改新とほぼ同時期。同寺の大雁塔は652年の建立。玄奘がインド・西域から持ち帰った仏像や経典を収蔵することが目的だった。
  塔の傾きが知られるようになったのは清朝期(1644−1912年)で、1719年の測定では頂上部分が西北方向に198ミリメートルずれていたという。1941年の測定では、413ミリメートルになっていた。
  1996年に測定したところ、ずれは1010.5ミリメートルにまで拡大していた。原因は、地下水位の低下にともなう、土地の不均衡な沈降と考えられた。当局は地下水利用の規制強化と地下への水注入などの対策に着手。塔の傾きは97年には停止し、その後復元に転じた。2009年の測定では、頂上部分のずれは998.9ミリメートルにまで回復したことが分かった。
  同市内83カ所の観測ポイントではこのところ、いずれの地点でも地下水位の上昇を確認し09年の地下水位は前年比で0.02メートルの上昇だったという。
  これまでのところ、傾斜からの回復の速度は1年当たり0.6ミリメートルで、状況に変化がなければ、塔が完全に「直立」した状態に戻るまで約1000年の、超長期計画になるという。(編集担当:如月隼人)