陝西省銅川市でトキ32羽放鳥 転送

陝西省銅川市耀州区の柳林林場で3日午前、絶滅危惧種であるトキ32羽が放鳥された。放鳥されたのは同省の漢中トキ国家級自然保護区で人工飼育されていたトキで、中国中部を東西に貫く秦嶺山脈より北側でトキが放鳥されたのはこれが初めて。同省では、洋県や寧陝県でもトキの放鳥を行っている。人民日報が報じた。

 今回放鳥されたのは、成体14羽、亜成体10羽、幼鳥8羽で、成体のトキは同保護区の管理局が、洋県で飼育されているトキの系譜情報に基づいて、血縁関係の遠い個体を選別した。また、野生に復帰するための訓練を2年以上受けているため、自然の中でも生存していける能力を初歩的に備えており、健康状態も非常に良い。

 中国の近年の保護や繁殖などの取り組みが実を結び、トキの個体数は1981年に確認された7羽から、現在1700羽にまで回復している。また、その生息地も拡大を続け、同省の洋県から漢中市、安康市、宝鶏市など3市12件に広がっている。北京や浙江省広東省などでも人口飼育が行われている。

 人為的要素を最大限減らすため、今回の放鳥は、飼育小屋の扉を開け、トキが自由に外に飛んでいくという方法が取られた。また、6-10羽にはGPS(全地球測位システム)を付け、追跡調査を行う。

 中国林業局野生動植物保護・自然保護区管理司の厳旬・チーフエンジニアは、「順調に越冬できるかは、トキが自然の中で生きていく上で最大の山場」とし、「記述によると、トキは元々渡り鳥で、環境が変化すると共に留鳥になったとされている。野生復帰は実験の1つで、放鳥の成功は、トキが自然で移動する習慣を取り戻したり、集団で生活するようになったり、子孫を残したりできるかにかかっている。これらは絶滅危惧種が必ず通る試練」と指摘する。(編集KN)

 「人民網日本語版」2013年7月5日