彩色あざやか、大型壁画を発見・・・元代の墓室で、夫1人・妻5人描く=陝西

陝西省考古研究院関係者によると、同省楡林市横山県内で、元代(1271−1368年)の墓に大きな壁画があることが確認された。鮮やかな彩色も保存されていた。宴会に臨む夫1人に妻5人を描いたものという。(写真は陝西省考古研究院が提供、CNSPHOTOが配信)

 同様な墓室壁画は内モンゴル中部では比較的多く発見されているが、陝北地区では初めて。壁画の中央部には、同墓に葬られたとみられる夫婦を中心に、6人が座っている。夫の部分の顔から胸部に欠けて脱落しているが、古いタイプのモンゴル服に似ているようにも見える。夫以外の5人は女だが、年齢差は特に感じられず、大きさなども同じだ。「夫婦6人の像」つまり、夫1人に妻5人が描かれているという。

 壁画には、料理や酒を入れた容器を乗せたテーブルもあり宴会の様子を描いたとみられている。屋外で作業をしているらしい人々も見える。

 陝北地区(陝北高原)は甘粛省東部から寧夏回族自治区南東部に広がる高原地帯。黄土高原の中部にある。

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◆解説◆
 中国では、モンゴル人に支配された「元代」が暗黒の時代だったように語られたことが多いが、最近の研究では「実際にはそうでなかった」との説が有力になりつつある。元代に対する批判は特に清朝時代に高まったが、漢人知識人が清朝を論じる際、直接の批判はできないので、同様に「異民族」王朝だった元朝にかこつけて批判したという。

 さらにモンゴル人は中国侵攻にあたって「大虐殺を繰り返した」とされるが、実際には漢人有力者の多くがモンゴル側についたことで、南宋の攻略を本格化することができたという。住民が大量に殺され街が徹底的に破壊された泉州なども、その後の文献を調べると、しばらく後にはそれまで以上に繁栄するようになったとされているので「虐殺や徹底的破壊は、極度に誇張された言い方だったはず」との見方もある。(編集担当如月隼人)(写真は「CNSPHOTO」提供)